近年、赤ちゃんの睡眠グッズとして人気が高まっている「スワドルアップ」。SNSや育児ブログなどでも「よく眠ってくれる」「夜泣きが減った」などと評判ですが、使い方を誤るとリスクが伴う可能性があることをご存知でしょうか?
とくに乳児期には注意が必要な「乳幼児突然死症候群(SIDS)」と呼ばれる現象に関連する危険性も指摘されています。本記事では、スワドルアップやその他のおくるみを使用する際に気をつけたいポイントや、安全に使うための対策について詳しく解説します。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?
SIDSとは、これまで健康だった赤ちゃんが、何の兆候もなく眠っている間に亡くなってしまうという極めて突然かつ原因が特定されにくい疾患です。生後半年以内の赤ちゃんに多く見られ、世界中でさまざまな研究がなされてきましたが、まだ完全な解明には至っていません。
主なリスク要因としては以下のようなものが挙げられています:
- 呼吸が妨げられる姿勢(特にうつぶせ寝)
- 顔が寝具などに埋もれることによる窒息
- 着せすぎや高い室温による体温上昇
こうしたリスクがスワドルアップなどのおくるみによって助長される可能性があることから、使用する際には注意が必要です。
スワドルアップの特徴と潜在的なリスク
スワドルアップは「モロー反射」と呼ばれる赤ちゃん特有の反射を抑えるため、赤ちゃんの両腕を体の側でしっかりと包み込む設計になっています。これにより、赤ちゃんがびくっと起きてしまうのを防ぎ、ぐっすりと眠れるようにサポートするのが主な目的です。
しかしながら、この「しっかり包む」構造が、赤ちゃんの胸部の動きを制限し、呼吸が浅くなる恐れがあるとも言われています。特にきつめに着せてしまうと、赤ちゃんが十分に肺を使って呼吸できない状態になることもあり得ます。
また、成長に伴って寝返りが始まる時期になると、スワドルアップを着用したままうつぶせになる可能性も出てきます。自力で仰向けに戻れない状態で顔が寝具に埋もれてしまえば、窒息のリスクは高まります。
安全に使うために押さえておきたいポイント
サイズの見直しを
おくるみを購入する際には、赤ちゃんの体型に合ったサイズを選ぶことが大切です。大きすぎても効果が弱まりますが、小さすぎても締め付けが強くなり、呼吸への影響が懸念されます。体重や月齢に基づいたサイズ表を参考にしつつ、やや余裕のあるフィット感を心がけましょう。
重ね着のしすぎに注意
赤ちゃんに寒さを感じさせたくないあまり、肌着の上に何枚も重ねて着せてしまうと、体温が上がりすぎてしまいます。これはSIDSの要因のひとつとされているため、室温に応じた適切な服装を意識しましょう。一般的には「大人より1枚少なく」が目安とされています。
スリーパーや暖房の併用は計画的に
冬場は特に、暖房やスリーパーを併用するご家庭も多いですが、赤ちゃんの体は熱がこもりやすいため、暑くなりすぎないよう工夫が必要です。温度・湿度計を設置し、室温を20〜22℃程度、湿度は40〜60%程度に保つことが推奨されています。
睡眠中の姿勢をチェック
基本的に、赤ちゃんは仰向けで寝かせるのが最も安全とされています。スワドルアップの公式サイトでも、仰向けでの使用を推奨しています。寝返りを始める兆候が見られた場合には、スワドルアップの「ステージ2」など、腕が自由に動かせるタイプへと切り替えるのが理想です。
寝具や周囲の環境にも注意
赤ちゃんが眠るスペースには、やわらかすぎるマットレスや枕、ぬいぐるみなどを置かないようにしましょう。これらが顔の近くにあると、万が一寝返りを打った際に呼吸が妨げられる原因になりかねません。
また、定期的に赤ちゃんの様子をチェックすることも忘れずに。短時間の昼寝でも、安心だからと放置せず、こまめに確認することで事故のリスクを大幅に下げることができます。
他のおくるみという選択肢
スワドルアップに限らず、赤ちゃんの動きを制限するおくるみ全般に共通するリスクもあります。素材や構造が異なるものを試してみたり、月齢や発達段階に応じて使い分けるなどの工夫も一案です。
赤ちゃんが成長し、自分で体勢を変えられるようになってきたら、おくるみから卒業する時期かもしれません。自然な寝返りや姿勢の変化を尊重しながら、無理に制限しないようにすることも、安全な睡眠環境づくりに繋がります。
まとめ
赤ちゃんの快適な眠りをサポートするスワドルアップは、正しく使えば非常に有効なアイテムです。しかし、使い方を誤ると、乳幼児突然死症候群(SIDS)など、命に関わるリスクが生じることも忘れてはなりません。
サイズや服装の調整、寝返りへの対応、寝具の選び方など、ほんの少しの工夫と意識で安全性は大きく向上します。赤ちゃんの様子をしっかり観察しながら、その成長とともに適切な睡眠環境を整えていきましょう。
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